
グルテン不耐症でアトピー症状が出る場合のテスト法と対処法についてまとめました。小麦グルテン不耐症以外にも食物不耐症は様々な食品で起こります。アレルギーとは異なりますが、腸に負担をかけ、様々な不調を起こします。合わない食べ物を減らせば、アトピー改善につながる可能性があります。
もくじ
グルテン不耐症(グルテン過敏症)とは?
小麦に含まれているタンパク質がグルテンです。
麺類やパンなどの小麦加工品のコシや柔軟性、膨張を助けている成分でもあります。
グルテン過敏症(グルテン不耐症)とは、このグルテンの中に含まれるグリアジンという主要成分に過敏に反応して身体に症状が現れるものです。
一言で言ってしまえば、「消化ができない」状態です。
テニスの王者、ジョコビッチがグルテンを除去した食事でパフォーマンスを上げたことで、日本でも一躍脚光を浴び、グルテンフリーダイエットといって、小麦を食べない食生活がプチ流行しました。
といっても、ジョコビッチの場合はセリアック病といって、グルテン不耐症とはまたちょっとちがう(というか深刻)なものなのですが。
とにかく、メディアで一躍小麦を抜く健康法「グルテンフリーダイエット」が取り上げられた経緯がありました。
グルテン不耐症の症状とは?
グルテン不耐症の症状は多岐にわたります。
疲労感
頭痛
偏頭痛
発汗
動悸
呼吸困難
低血糖症
糖尿病
腹部膨満感
悪臭ガス・悪臭便
下痢
胃痛
逆流性食道炎
胸焼け
腹痛
胃けいれん
吐き気
原因不明の体重減少
骨粗鬆症
不妊症
抜け毛
歯の衰え
口内炎
ビタミン・ミネラル欠乏症
皮膚の乾燥
発疹・じんましん
帯状疱疹
昔と比べ、日本でも小麦の消費量が増えてきたので、グルテン不耐症や小麦アレルギーの人も比例して増えてきています。
昔の日本人は、そんなに小麦を大量に食べることもなかったので、グルテンへの感受性はさほど高くなかったといいます。
グルテン不耐症と小麦アレルギーの違いは?
グルテン不耐症は小麦アレルギーやグルテンアレルギーとは、厳密に言うと異なります。広い意味で全部ひっくるめてグルテン不耐症と言われることもあるけれど。
小麦アレルギー | セリアック病 | グルテン(小麦)不耐症 | |
特徴 | 小麦に含まれるタンパク質に反応 | 小腸の損傷を特徴とする自己免疫疾患 | グルテンに対する感受性 |
原因 | 小麦に対する免疫反応 | 自己免疫疾患 | 酵素の不足・欠如など |
検査
方法 |
IgE抗体検査(即時型アレルギー反応)
IgG抗体検査(遅延型アレルギー反応) |
IgA抗体検査 | 血液からの抗体検査では発見できない |
セリアック病と小麦アレルギーは血液検査でわかるけれど、グルテン不耐症は血液検査ではわかりません。
じゃあどうするかと言うと、食べるのを止めてみるしかありません。
アレルギーは免疫反応が原因で、少量でも発症しますが、食物不耐症は少量食べただけでは症状が出ない場合があります。だんだんと発症して、数時間から数日の間にひどくなります。
でもひどくなると言っても命の危険まで及ぶほどの重症には比較的なりにくい性質があります。
といっても、どんぴしゃでグルテン不耐症だった場合は、小麦を食べなくなると、これまで悩まされていた症状がなくなり、生活が楽になる可能性があります。
グルテン不耐症でも皮膚症状はでる?
出ることが分かっています。
例えば、毛孔性苔癬。腕の裏側に鳥肌のようなぶちぶちが出る状態です。
これはグルテン不耐症により腸がダメージを受け、脂肪の吸収不全が起こることによって、必須脂肪酸不足やビタミンA不足に陥る結果のだそうです。
他にも慢性的な乾燥肌や、発疹がでることもあり、アトピーと診断されていることもあります。
食物不耐症の種類
さて、グルテン不耐症以外にも、食物不耐症といって、小麦以外の食物でも同様に症状が出ることがあります。
グルテンが大きく取り上げられることが多い分、他の食物不耐症はあんまりメジャーじゃないのかもしれない。
食物不耐症は国や人種によって異なるものの20%程度の人が何らか食物不耐症を持っているらしく、その土地で昔から食べ続けてきたもの以外の食物に対してよくあるらしいです。慣れない食べ物って消化できないんですね。
食物不耐症は生まれつき酵素が欠如している先天性の場合と、成長とともに減少していく後天性の両方があります。
いくつかまとめてみました。
乳糖不耐症
乳製品に含まれる乳糖を消化するラクターゼの不足・欠如が原因でおきる。先天性と後天性の両方あり。乳糖を摂ると下痢をする。
牛乳飲むとお腹がゴロゴロする人はこれです。
クエン酸不耐症
野菜、果物に含まれるクエン酸の消化不良。柑橘系で調子を崩すひとは要チェックかもしれません。
お酢もそうですし、飲み物や食品の防腐剤にもしょっちゅう入っているので注意。
卵白不耐症
卵黄の不耐症がないわけじゃないけれど、卵白に反応するのが一般的です。
レクチン不耐症
レクチンとは、野菜や果物、豆類、ナッツ類、穀物類、キノコ、など多くの食べ物に含まれているたんぱく質。牛乳など動物性のものにもあります。特に細胞膜表面に存在する糖と結合し、別な細胞同士を糊のようにくっつける(凝集)働きがあります。
レクチンは70℃以上で30分ほど加熱調理することで活性はなくなるので、加熱調理して食べると毒性を減らせることが分かっています。
それぞれの食物のレクチンは、腸の表面膜の細胞の膜に存在する特定の糖に接触することによって、腸の表面膜がダメージを受け、リーキーガット(腸管漏出)つまり、腸壁の網目をスカスカにして、大きなたんぱく質を通し、アレルギーを引き起こしやすくしてしまう可能性もあります。
アルコール不耐症
遺伝的にアルコールを分解するアルコール脱水素酵素(ADH)が弱いケースです。日本人は外国の方に比べて多く(といっても日本人の5%ぐらい)存在しています。これはわりと有名でしょうね。
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主な物を挙げてみましたが、その他の食物不耐症もあります。
乳糖だけではなく、果糖に不耐症がある人もいます。
人工甘味料・人工着色料・防腐剤などの添加物
カフェインがダメな人もいれば、チョコがダメとか。
結局は、消化異常、消化不良を起こしてしまうんですね。
消化器官はそれでも消化をしようと一生懸命に働くのですが、その分エネルギーを消費していまいます。
それでも消化できないと、そのまま体外に出されてしまいますが、その過程で腸を中心に体に大きな負担をかけてしまい、各種症状がでてしまうんです。
グルテン不耐症のテスト方法は?チェックはどうする?
先ほども書いたのですが、グルテン不耐症、食物不耐症は血液検査ではわかりません。
食べない期間を作って、テストしてみるしかありません。少々面倒に思うかもしれませんが、逆に実際に食べないでテストすることで、自分に合わないものが実感できますし、グルテン不耐症だけではなく、高い検査代を出さなくても食物アレルギーが見つけられる方法でもあります。
※念のため、アナフィラキシーなど明確にアレルギーを持っている人はやめてくださいね。
原因と思われる食物をピックアップする
一番良い方法は、毎日の食事日記をつけることです。
食物不耐症は症状がでるのに時間がかかります。体調が悪くなった時点で、それ以前に何を食べていたのかを振り返ることで、何が自分に影響しているのかを特定する手がかりになります。
毎日の食事と、日中や夜の体調や症状も記録します。
アトピーの場合は、皮膚症状も大切ですが、朝起きるのがつらいとか、全身症状も併せて記録しましょう。
もしくは、よく口にしているもので、確率が高そうなものをピックアップして食べない期間を作ってみることでもわかります。
乳製品、小麦、大豆、卵、ピーナッツ、カニや貝類、トウモロコシ、ナッツ類、果物、コーヒーなど、心当たりがあるよく食べるものをピックアップします。
添加物をすべて止めるというのもいいです。
除去期間をとる
怪しい食物に目星をつけたら、2週間、その食物を一切摂るのを止めます。
ちょっと厳しいのですが、徹底的に止めてみることです。
例えば小麦に関して言えば、
パンや麺類、お好み焼きなどの粉物を止めるのはもちろん、揚げ物の衣もハンバーグのつなぎも、ケチャップやマヨネーズ、クリーム系のソースやカレーも止める必要があります。ビールもダメですし、醤油や味噌、コンソメなど調味料にも小麦が使用されているものがあれば避けます。ここまで徹底する必要がありますので、食品の裏のラベルをよく読むようにしてください。
除去している食べ物が入る余地がない食品を選んで食べるほうが簡単です。小麦グルテンを止めるなら、米、野菜、肉、魚を蒸して塩とオリーブオイルとレモン汁で食べるとか工夫をしてください。
復食期間を設ける
2週間食物除去した時の体調の変化を感じてみてください。
もし不耐症のある食物であれば、体調がよくなるはずです。
変化がなければ、その食べ物は関係ないと判断します。
除去した食物は、次の1週間で、少し口にしてみます。
食物不耐症は大量に食べると発症しやすいので、ほんの少量から初めて、様子を見ます。
良くなっていた症状がぶり返してきたら、食物不耐症があると確定すればいいですね。
グルテン不耐症・食物不耐症の直し方は?
もし不耐症だと思われる食物があったら、どうしたらいいでしょうか。
一度食べるのを止めて、再度食べた時に、反応が少しだけしか起こらなければ、4、5日に一度ぐらい頻度を下げてなら食べて続けてもいいでしょう。
ひどい反応が出てしまうレベルなら、もう食べないことが最善です。
残念ながら、グルテン不耐症、食物不耐症は今のところ有力な治療法はありません。
一番の方法はその食物を食べないことなんです。
グルテン不耐症を酵素で解消できる?
しかし、完璧とまではいかないのですが、グルテンに関しては、分解消化を助けるサプリメントが出ています。
「Gluten Digest(グルテンダイジェスト)」というサプリメントです。
他にもグルテンザイムとか、いろいろな名前、メーカーから出ています。
内容は、グルコアミラーゼという小麦グルテンの消化を助けてくれる酵素をメインに、各種消化酵素を取り入れたサプリメントです。
日本のメーカーは作っていないので、外国から個人輸入する必要があります。
小麦を食べる前に飲んでおくことで、症状を和らげる効果があるとされています。
過敏症の程度が軽いなら、こうしたサプリを活用することでしのげるかもしれませんが、完全にとはいかないようです。
レクチン不耐症の対処法
他の不耐症はどうかなーと、いろいろ本やネットで探してみたのですが、有力な方法はあまりなく・・・。
唯一見つけることができたのは、ムチンを摂る方法です。
ムチンとは、オクラやメカブ、山芋、モロヘイヤにふくまれている、ねばねばした成分のことです。
詳しくは、こちらの臨床栄養士のひとり言というブログを見ていただくとその作用が詳しく書かれています。
簡単に要約すると、
ムチンのようなムコ多糖類(ねばねば)は、レクチンと結合す作用があるので、レクチンが腸壁に害を及ぼすまえにムチンと結合させて影響を低下させるという作戦です。
素材自体が強力なレクチン反応を起こさない、ムチン質が豊富な食物はオクラとメカブ。その両方を前菜として食べると、そのあとに食べるレクチン不耐症の食物の反応を和らげてくれる効果があるとのことです。
これも完ぺきではないですが、実践してみて楽になるならいいですよね!
あとは、食物を生で食べるのではなく、しっかり加熱をして食べることですね。
おわりに・まとめ
こうしてみてみると、食養生で出てくる「身土不二」も間違いではないと考えられる気がしてきます。昔ながらの添加物のない和食を食べ続けていたら、日本人には食物不耐性って起こらなかったのかもしれませんね。食の西洋化やファーストフードの広まりとアトピーの増加を関連づける説も、食物不耐性で説明がつくかもしれません。民間療法で和食回帰を推進するのもあながち間違いではないと思えてきます。
アレルギー検査も大事ですが、シンプルに、食事日記をつけて、体調を観察して、合わないものを食べないと言う方法はアトピー改善に有効だと思います。
私は乳製品が軽く不耐症っぽいので、積極的には摂らないようにしています。全く食べないわけではないです。仕事のお付き合いで外食するときなどはおいしくいただき、私生活では食べないようにしています。食べないと肌も機嫌がいいし、体が軽いので快適です。