
アトピーの原因にハウスダストがあります。アレルゲンになっていなくても対策はした方がいいですアトピーの患部につくとかゆみを引き起こしますし、大量のハウスダストに触れれば、新たにアレルギーを起こすリスクもあるからです。掃除の方法と、掃除機の選び方について語ってみたいと思います。
もくじ
アトピーさん向けハウスダスト対策の基本とは
まずハウスダストとは、
ハウスダスト(英語:house dust)とは、室内塵のことで、アレルギーを引き起こすいくつかのアレルゲンが混合したもの。ペットなどの動物やヒトの皮屑(フケ)、カビ、ダニ、および細菌などが混ざったもの。 広義であれば、読んで字のごとく室内塵そのものを指し、砂塵や繊維の屑なども含む。
ハウスダストアレルギーと言った場合、その実態の多くがチリダニ(House dust mite)の仲間の虫体および糞などが細かく崩壊したものに対するアレルギーであることが多い。すなわち、ダニアレルギーとほぼ同義である。
通年性のアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルゲンとして主なものである。
ということで、Wikipediaさんから引用させてもらいました。
なので、ここでは、室内で出るハウスダスト、特にダニ対策についてお話したいと思います。今回は床掃除について。
アトピーの検査(IgE抗体)で陽性になった場合はもちろんのこと、アレルゲンではなくても、アトピーになったら、ハウスダストには気を付けた方がいいです。過剰な清潔志向は問題だし、神経質になる必要はないのですが、ハウスダスト対策をしたほうが結果的にアトピーには良いからです。
と言うのも、
埃やハウスダストが皮膚につくだけで物理的刺激で痒くなってしまうことが往々にしてあるからです。
私は子供の頃はIgE検査でハウスダストで陽性とお医者さんから診断されましたが、大人になってからの血液検査ではIgEは正常値でした。それでもマンションでダニ対策を怠っていた時期はかゆみもひどかったように思います。
なぜそれがわかったかというと、掃除機を変えて、布団専用のダニクリーナーを使い始めたら、日常のチリチリとした慢性的なかゆみが軽減したからです。部屋の塵や埃も目に見えて溜まりにくくなりました。棚とかに積もる塵が激減して、掃除する度に掃除が楽になるという好循環にもなったんです。
アトピーのダニ対策と掃除方法!
アトピーを引き起こすハウスダストの中心はダニです。ダニ対策の基本ポイントは、
1. 生きているダニを死滅させる。
2. ダニの死骸を除去する。
3. ダニの増殖を防ぐ。
この3点を押さえて対策をする必要があります。
例えば家の中にいるメジャーなアレルゲン、ヒョウヒダニは、卵から成虫になるまで2~3週間で、寿命は3ヶ月ほどです。短期間で生まれて死ぬを繰り返しているんですね。
ダニは1年中増え続けます。特に、湿気が多いところで繁殖が進みます。温度が20度以上、湿度が60%以上で活発になり、湿度80%では大繁殖します。
対策のキモはダニをいかに繁殖させないかです。掃除をしっかりすることで、ダニのえさになる皮膚の粉などの塵を取り除きます。ダニの死骸を吸い込むことでアレルギーを引き起こし、皮膚につくことでかゆみになるので、死骸をしっかり除去することが大切です。
掃除機をこまめにかけることで、ある程度対策出きるので、やはり基本は掃除機がけということになります。軽度のアトピーであれば高性能の掃除機をしっかりかけていれば問題ないことも多いです。
ただ、ダニが増えて、死んで、掃除機で吸って・・・と、いたちごっこだし、毎日働いていて掃除機かけるのも大変だわ、という人もいるかもしれません。
がつんとダニの絶対数を減らすことができたらいいなぁと思いますよね。
でも実は生きているダニを死滅させるのってけっこう難しいんです。
ダニが死滅させるには、
・ダニのエサをすべてなくす
・殺虫剤で殺す
・乾燥(湿度30%以下)と高温(50度以上) の状況に追い込む
という方法があります。
この中で、ダニの餌をすべてなくすのは本当に無理。ダニはいろいろなものを餌にしていますが、人間の皮膚のフケ、垢、髪の毛、が大好きです。ペットの毛も同様です。アトピーだとどうしても皮膚を掻いた時の粉が部屋に落ちてしまい、ダニに餌をたくさんあげてしまってるんですよね・・・。だからこそこまめに掃除機をかけることが大切なんですが。
ダニ対策は掃除機をかける以外にもできますが、却ってアトピー悪化に繋がるものもあるので注意が必要です。
ダニの殺虫剤・防虫剤
知っておかなければいけない点として、アレルギーを起こすのはダニそのものではなく、ダニの死骸を吸い込むことで起こります。生きているダニではないんですね。
ですから、殺虫剤を使ってダニを殺して死骸だらけにするとか、布団乾燥させた後に叩いたりと、家の中にダニの死骸を増やしてしまうと、却ってアトピーは悪化することがあります。カーペットや畳に針を差して使う殺虫剤、燻煙タイプの殺虫剤、スプレータイプの殺虫剤は使わないほうがよく、使うなら殺虫剤を撒いた後はいつも以上に念入りに掃除機をかける必要があります。
しかも、針を指すタイプも燻煙もスプレーも、カーペットや畳の奥のダニにまでは殺虫効果が及ばないので、完全にダニを駆除することはできないらしいのです。また繁殖してしまいます。
逆に殺虫剤の成分が体に悪いので、換気をしっかりするように使用上の注意をよく読んでお使いください、なのです。化学物質に過敏で殺虫剤でアトピーが悪化したら意味がないので、できれば使いたくないのが本音ですね。防虫剤も同じです。
できれば床の材質も選びたい
殺虫剤も使いたくないし、できれば絨毯とか畳などダニが住み着かない床がいいな・・・。
カーペット>畳>フローリング の順番でダニが繁殖しやすいです。
借りた部屋がもともとカーペットだったらどうしようもないですが、選べるならフローリングのほうが、繊維からの埃が少なくなりますし、ダニ対策もしやすいです。
掃除機をかけることもできますし、水拭きもできます。
フローリング用除菌シートも使えますから掃除がこまめにやり易くなります。
かといって、カーペットや畳の上にウッドカーペットを敷くのはやめたほうがいいですね。表面上フローリングのようにはなりますが、ウッドカーペットとその下のカーペットの間でダニが繁殖し、ウッドカーペットの隙間から出てくることはよくあります。湿気がたまりカビが出る可能性もあるので気を付けたほうが良いですね。
床素材を選べるならフローリングにしましょう。でも今住んでいる家の床がすでにカーペットやタタミだったら、無理に変えるより、まずは掃除で対策すればいいです。
ちなみに、フローリングの上に、細かい白色やグレーがかった塵がたくさん積もる場合、それ、ダニの死骸です。
布団とかソファーとかクッションとか、ダニ対策をしたほうが良いですよ。
スチームアイロンでダニ退治
薬品を使わず、高温でダニを死滅させることができるアイテムが、アイロンのスチームです。
もし、床がフローリングでなくて絨毯・カーペットだったとしても、強力にダニ退治ができます。
以下手順
1:スチームをかける一時間ほど前から、部屋を暗くしておく。
ダニは光を避け、暗いところで活動するので、カーペットなどの表面にダニをおびき寄せる効果があります。
2:タオルを水に濡らして固く絞り、スチームを当てる部分に敷く。
3:スチーム最強にしてタオルの上からアイロンを押し当て、隅々までスチームを行き渡らせる。
4:スチーム終了後、タオルを取り、スチームが蒸発しきってから掃除機をかける。
これでかなりの率でダニを死滅させることができます。かなり効果があります。
タオルは、熱でカーペットなどの生地を痛めないようにするため必ず必要です。
ただし、ビニール素材や高温NGの素材には使えない技です。当てる前に、生地の製品表示を確認する必要があります。アイロンの絵に×がついていたらできません。アイロンのマークの下に「~」マークがついているなら、当て布すればOKです。
一部屋分のカーペットをやるとなると、かなりの労力が必要になりますけど、最初クッションとか手軽にできる小物で試してみるといいです。
空気を乾燥させる
乾燥していればダニは生息することができません。空気を乾燥させるのも良い方法です。
一番手軽にできるのは、換気。換気扇をこまめに付けておくだけでも空気の流れができ、湿気を外に出すことができます。ただし季節によっては難しく梅雨の時期などはエアコンの除湿機能も活用したいところです。
洗濯物の部屋干しは、室内に湿気を充満させますので避けたいところ。エアコンや浴室乾燥機能があれば絶対併用です。
でも、アトピー肌だと空気の乾燥で肌がカサカサしちゃうんですよね・・・。
肌のために加湿器を使っている人も、定期的に換気をしっかりして湿気を逃がす時間を作ったほうが、ダニ対策には良いんですよー。
ダニ取りアイテムを活用する
他にもダニ取りグッズとして、ダニを捕獲するシートがあります。
布団やタンスに入れておくことで、生きているダニをおびき寄せて、シート内に閉じ込めてしまうアイテムです。
これは衣装ケースの中とか、ベッドのマットレスの間とか、カーペットにはさむなど、おいておくだけでダニの絶対数を減らすことができます。あくまで生きているダニを誘因するアイテムなので、ダニの死骸は掃除機で取るとして、掃除機を頻繁にかけるのが難しい場所に置くといいですね。
ハウスダストに最適な掃除機でアトピーを軽減する!
ハウスダスト対策は結局どれだけちりやほこりをしっかり掃除機で取りきれるかが大きいです。
ダニを死滅させる方法をいろいろやっても、最後にダニの死骸を取るのは結局掃除機なので、性能の良い掃除機を持っておくのは重要であると言えますね。
掃除機はいろいろと種類があります。
最近出ているものを、集塵方式で分類すると
・サイクロン型
・紙パック型
に分かれます。
他にもルンバのようなロボット型もありますが、ひとまず今回は自分で動かして使う掃除機でお話します。ルンバは床だけの掃除だから布団掃除とかには使えないからね。
サイクロン式は、空気の流れでゴミと空気を分ける方式
紙パック式は、紙パックを通して、ゴミと空気を分ける方式。
それぞれ一長一短です!みたいなメーカーさんの説明もありますが、ハウスダスト対策でアトピーの人が実際に自分で掃除をすることを考えると、選択肢は紙パックのほうがいいと思いますよ。
サイクロン式掃除機
ダイソンが一気に流行らせたサイクロン式掃除機。
空気をサイクロン構造でぐるぐる回してゴミをわける方法です。メリットは細かい粉塵をたくさん吸っても、目詰まりしにくいことです。
また、紙パックのようにパック交換は不要な点もメリットと言われています。
でも、実は、サイクロン式掃除機のフィルタには寿命があり、1万円くらいかかります。意外とコストかかるんですよね。
それよりも大きな問題がは、お手入れの方法です。
サイクロンの能力を維持するには、内部のフィルタ掃除は必須です。
たまったゴミは中を開けて定期的に捨てることになります。
使った人ならわかると思いますが、このゴミ捨て作業の際に塵やほこりが舞い上がり、吸い込んだり手についたりするのです。
また、ゴミの溜まる部分の壁面には細かいちりがびっしり静電気で張り付いているので、拭き取りもしなくてはいけないのです。
何がつらいかって、せっかく取ったハウスダストに、大量に暴露する瞬間があるってことです。マスクに手袋の完全防備で屋外に出てやらないと・・・。それでも目がかゆくなったりしてね。
・・・という状況を花粉症の友人から聞いていたので、私は買わずに済みました。
もし、ご家族がこのメンテナンスをやってくれるのであれば、お任せすればいいのですが、一人でここまでやる場合は、一番避けるべきハウスダストをに触れる仕事が出てきてしまいます。
掃除機を比較しだすと、いろいろな面で比較している専門サイトや雑誌がありますが、アトピー対策でしかもハウスダスト対策をしたい当事者にとっては、この点だけでもサイクロン式は大きなデメリットを抱えていると言わざるを得ないです。
でも、吸引力が・・・、と思う方もいるかもしれません。
実は、ダイソンの売り込みは「吸引力が落ちない」ことであり、吸引力が強いというわけではありません。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20060406_1.pdf
国民生活センター調査より
紙パックだとゴミを吸い込んでいくにつれて吸引力が落ちますが、ダイソンはそうではないというだけ。
低い吸引力で安定しているという意味です。
吸引力だけで比較すると、紙パック掃除機で、ダイソンよりもっと強い国産掃除機があります。吸引力が落ちたところでもダイソンより高いレベル。
でも、ダイソンは吸引力は弱くても、吸い込み口と床の距離が近いヘッド部分の工夫で、床のごみを吸い込む性能を良くしているそうですね。
紙パック式掃除機を選びたい
ということで、軍配は紙パック式掃除機に。
本体価格は3万円台を出せばで最高級機種が買えるのも紙パック掃除機の大きな魅力です。
ただし、紙パック代がかかります。純正の高性能髪パックはひとつ400~700円します。
取り換えの頻度と掃除するときのごみの量によりますが、年に何回か取り換える必要があります。平均は2~3ヶ月に1度くらい。
紙パックが目詰まりしたら吸引力が落ちるので、パックのゴミの溜まり具合には注意が必要です。
純正ではない一つ100円程度の紙パックがありますが、あれだと小さい塵が紙パックを通り抜けてしまうので、排気に影響が出やすいです。あと、掃除機本体の排気フィルターにゴミを届けてしまうので、本体フィルターが汚れて排気が臭くなる原因になってしまいます。
ハウスダスト対策ならば、迷わず純正紙パックを使うべしです。
最近の紙パックで、たとえば日立の「CV-PC500」なんかは、掃除機内臓のフィルタと純正紙パックの合わせ技で、0.3μm以上のホコリの約99.999%を捕塵可能。
一番小さなチリダニで0.2~0.5mmですから余裕ですね。(1μm=0.001mm)
ちなみに黄砂でも4μm。問題ないでしょう。
この点、紙パックのランニングコストをデメリットに挙げる電気屋さんの販売員がいるのですが、正直、数か月に1回の数百円程度の出費ってそんなに負担にはならないです。その分紙パック式の掃除機は本体価格が安いです。
長く使えば、いずれランニングコストが上回るかもしれませんが、それより何より、我々が使う上で何よりも良いのが、掃除機のお手入れが、紙パック交換だけで済むことです。
サイクロン式と違って、掃除機内にゴミがたまっても、手を汚さずにパックを交換して捨てるだけです。掃除機を開けた瞬間に大量のハウスダストを吸い込むことがありません。
この楽さと安全性をもって、アトピーのハウスダスト対策には、紙パックのほうが圧倒的に良いです。
おわりに・まとめ
・ハウスダスト対策の中心はダニ対策
・基本は掃除。死骸やフンを掃除機できれいにする
・殺虫剤を使わない方法で
・掃除機はお手入れも含めて選ぶ!紙パック式がベスト
次回は布団のダニ対策や、空気中のハウスダストについてもお話できればと思います。