アトピーへの太乙膏の効果と副作用、紫雲膏との違いをまとめました

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アトピーに太乙膏を使うと効果があるのか、副作用の心配があるのか?実際使ってみた本当のところをお話したいと思います。漢方の軟膏は独特ですので良く知って使う必要があります。紫雲膏との比較も漢方医の先生にも詳しく聞いたことがあるので情報をシェアしたいと思います。

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アトピーに使われる太乙膏とは?

太乙膏(タイツコウ軟膏)は「和剤局方」収載の“神仙太乙膏”に基づいて作られている軟膏です。古くは中国の宋の時代から万能で優れた効果の軟膏という意味で神仙と付けられていたそうです。

単に太乙膏ともいいますが、正式名称は「神仙太乙膏」(シンセンタイツコウ)です。

 

実際にメーカーが記載している効能効果は、

切り傷,かゆみ,虫刺され,軽いとこずれ,火傷

 

元々は傷んだ皮膚の修復に優れている軟膏として使用されてきました。肉芽の形成を助け、痛みやかゆみが取れるのを早める効果があるとされてます。患部が乾燥したものでもジュクジュクしたものでも、どちらの場合にも使用でき、鎮痛効果もあるため、頑固な湿疹で皮膚表面が崩れてしまっている状態にも使用できます。

 

太乙膏の成分

当帰 
桂皮 
大黄 
芍薬 
地黄 
玄参 
ビャクシ 
ゴマ油 
ミツロウ 

 

作り方は、

ゴマ油を熱して、ミツロウをとかします。
そこへ、当帰、大黄、芍薬、地黄、玄参、ビャクシを順に入れてから揚げし、火を止めてから、桂皮を入れて10分置いておきます。
ろ過した物を、ゆっくり2時間攪拌すると固まってきて、出来上がりとなるそうです。

 

色は黄土色に近い黄色です。臭いはカレーのような臭いと「ごま油」の臭いが混ざっている独特のにおいです。塗っていると常にその臭いがします。

 

アトピーに使える太乙膏を出しているメーカー

製造販売元はメルスモン製薬(株)です。
販売会社はイスクラ産業、ウチダ和漢薬、 松浦漢方、八ッ目製薬とあります。中身は同じ製造元のものです。

 

「太乙膏(タイツコウ)」だけの名前ですと、同じ名前で別の薬もあります。

協和新薬という会社が出している酸化亜鉛とホモスルファミンとカンフル剤の軟膏です。ここでご紹介する漢方製剤のタイツコウとは全く違うものなので注意してください。もし薬局で購入されるなら、パッケージが黄色と緑のラインが入っているものではなく、赤紫のパッケージと覚えておくといいかも。

 

アトピーへの太乙膏の塗り方・使い方

患部に厚めにのせて、指で広げるようにして塗ります。擦り込む必要はありません。塗って患部を覆う感じです。
浸出液がでてジュクジュクしている場合には、清潔なガーゼなどで吸い取り、一旦イソジンなどで消毒して数分置き、消毒液を水できれいに洗い流した後に、ガーゼに太乙膏を厚めにのばして患部に貼ります。

 

太乙膏はどうしても、ベタベタしますし、服についたら洗濯が大変です。色が残ってしまいがちです。
体に使う場合はガーゼで覆うほうがよいです。

 

軟膏を落とす場合は、お湯だけではなかなか落ちません。石鹸でも洗浄力があるものでないときれいに落ちません。
きれいに落としたい場合は、オリーブ油やホホバオイル、クレンジング剤を使う方法があります。

石鹸やクレンジングで無理に落とそうとすると、却って皮膚の保湿因子を奪いかねないので、オイルで軟膏をなじませ、その後にぬるま湯で洗い流し、さらに石鹸で洗うようにするなど工夫が必要です。
このときに、せっかくふさがった傷のかさぶたも一緒に取ってしまうこともありますので、そっと洗うようにします。

 

太乙膏は顔のアトピーに塗っても良い?

顔にも使えます。

ステロイドのように、皮膚の場所によって吸収される量の心配などは必要ないとされています。

目の周りにも使用できます。ただし、ごま油やミツロウなどの油分が目に入ると少々痛いですのであまり目の際までは塗らないほうがいいと思います。

黄色い色がつくのと、カレーっぽい臭いが常にしますので、それが気になる人には向かないですね・・・。

 

顔に使う場合の注意点は、日焼けです。顔などに塗った状態で強い紫外線に当たってしまうと、日焼けしてしまいます。
これは副作用でもなんでもなく、油の性質です。サンオイルを塗ったようになるので、塗ったところだけよく焼けたりするので注意が必要です。

外出時、紫外線の強い季節には十分ご注意を。

 

アトピーに対する太乙膏の効果は?

アトピーのかゆみで皮膚を掻き毟ってしまうと、傷が無数にでき、そこに細菌がつくとまたかゆみがひどくなり悪循環です。太乙膏を塗ることで、傷の治りを早め、皮膚の修復を促進することで、アトピーのかゆみと悪化を防ぐことが期待できます。

 

アトピー性皮膚炎では、特に、赤くなって乾燥しているものや、掻くと滲出液が出たり出血するものにも良いとされています。

玄参・大黄・地黄には炎症を鎮めて化膿を止める効果があります。清熱作用のある生薬なので、赤く熱をもったようなアトピーでも対応できます。ビャクシや桂皮などにはジクジクとした状態やかゆみを取る効果も期待できるとされています。虫さされにも使われてきた処方です。

 

ただし、もちろんステロイドのように、塗ったら一気に炎症が引くような劇的な効果はありません。
効き目は穏やかですので、ステロイドの効き方のイメージで使うとがっかりすることになります。

 

太乙膏がアトピーに及ぼす副作用は?悪化しない?

さて、太乙膏を塗ってアトピーが悪くなることもあります。副作用もあります。
添付文書に書かれているのは、

発疹・発赤、かゆみです。

 

漢方だから副作用がないというわけではありません。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談する必要があります。

 

太乙膏に対して接触性皮膚炎を起こしてしまう場合もあります。

入っている生薬のどれかが肌に合わない場合、ゴマ油やミツロウにかぶれてしまう場合には、アトピーは悪化します。

接触性皮膚炎(Ⅳ型アレルギー)は、血液検査ではわからず、肌に触れて症状が出て始めてわかります。
念のためにパッチテストをしてから塗るほうがいいのかもしれません。
塗ってかゆみや炎症がひどくなったと思ったら、すぐに使用を中止する必要があります。

 

紫雲膏と太乙膏はどちらがアトピーに効くか?

アトピーによくつかわれる軟膏で、紫雲膏と太乙膏はどちらがいいのか?と良く比較になるのですが、症状によって使い分けると言うのが正解です。

 

太乙膏のほうが対応できる症状が広く、進行してしまったアトピーにも使えます。

 

紫雲膏は、本当に初期の乾燥性アトピーの悪化を防ぐレベルなら使いやすいです。伸びも太乙膏より良いですし。

でも、症状が進行したアトピー性皮膚炎だと、紫雲膏は血行が良くなりすぎて、却ってかゆみを引き起こす可能性があります。
太乙膏は血行促進と同時にかゆみの熱も取るための生薬も入っているため、より適していると言えます。

また、浸出液が出ている場合、紫雲膏は使えませんが、太乙膏は使えます。

ミツロウでがっちり保湿もできるので、乾燥対策も可能です。

 

アトピーだと、太乙膏のほうがかゆみ対策もできるため、使っていて効果を感じやすいのではないかと思います。
私は症状がひどい時に、漢方医の先生から太乙膏のほうを少しいただいたことがありました。

引っ掻き傷と皮膚の剥がれ方がひどかった時期に浸かったのですが、ガーゼに塗って患部を密閉すると、確かに傷のある患部の痛みとかゆみは楽になりました。ワセリンよりも保護効果がありますし、ガーゼに塗って患部に張る方法は傷の治りが良かったです。

とはいえ、ステロイドのようにてきめんに炎症がなくなるわけではないです。
テクスチャーの重めの軟膏を塗っているので、引っかくと爪の中に入ってめちゃくちゃ手が汚れるので、触らないよう神経を使ったことも功を奏しているかも。

 

おわりに・まとめ

・太乙膏は赤みやかゆみ傷になっているアトピーに使用可
・太乙膏の効果の主なものは、かゆみ対策と傷の保護、修復
・ジュクジュクしたアトピーでも浸出液を拭いてから使用可
・一定の効果は期待できるけれど、もちろんステロイドほどの炎症抑制効果はない

 

漢方薬は、西洋医学とは異なった発展の仕方をした薬剤です。臨床的に効く効かないの情報が積み上げられたものなので、科学的に解明されていない点が多いです。そのため経験を持った漢方医に、体の状態を診てもらい、処方をしてもらうのがいいです。市販の軟膏を自分で使う場合は適用症状を良く見極めて使う必要があります。

 

医師から処方してもらったこともありました。関節部や首の傷がひどい所につけるように言われました。確かに掻き傷の治りは早い気がしましたし、つかうと痛みかゆみはマシになるんです。

ですが、服についてしまうと洗濯が大変でした。
あと、どうしても臭いが気になります。つかっていると自分でも臭いがしますし、周りにもわかるくらいカレーっぽい臭いをまとうことになります。働いているならちょっと使いにくいですね、正直。
なので、休日だけつかうことにしたのですが、そうすると休み明けには薬を石鹸で落とすことになり、その時にできかけたかさぶたや柔らかい皮膚も剥がしてしまい、苦労しました。塗り始めたらしっかり連用して傷や皮膚表面が落ち着くまで使い続けるほうがいいんですが、わかっていてもなかなかサラリーマン生活で使うのは難しいと言うのが本音でした。

臭いや洗濯の問題が苦にならないのなら、いい軟膏だと思います。

 

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このサイトについて

tきらり

きらり です。

小さい頃からずっとアトピー。大人になっても悪化の一途。

いわゆる全身ステロイドリバウンドも経験しましたが、働きながら完治させました。もう長らく、ステロイドは使っていません。


その実体験を元に、良かったこと、悪かったことを、知っておくとよいことを、みなさんにシェアしたいと思います。


ちなみに、ステロイド完全否定派ではありません。ステロイド治療も代替医療も両方の良いとこどりで、いかに私生活と治療を両立させるかがモットー。人生の中心は病気の治療じゃないよね。やりたいこと楽しむためのものだよね。

こうして公開することは想定していなかったので、全身ボロボロの時の写真は残っていないけど、ラストスパートの時はこんな感じ。


ダラダラとステロイド付けていた部分は頑固だったなぁ・・・
アトピー完治


今日も仕事から帰って、せっせとブログ更新してます。ときどき見に来てください。


【お願い】 運営者きらりは元患者の立場であり、アトピーを職業にする気持ちはありません。アトピーに関する執筆・講演等やお仕事コラボのご依頼は申し訳ありませんが全てお断りしています。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。